スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ふたり

だいぶ時間がかかってしまいました。

まだ、先が見えていません。
あわよくば、べた甘にいきたいのですが・・・

なるのか? この話で(^^ゞ

とりあえず、第一章「ドッペルゲンガー」です。
感想をいただけると嬉しいし、感謝感謝です。
この先はまだ書いていないので、これから書こうとする気力もわきます。
どうぞよろしくお願いします。

相変わらず、本ばかり読んでいます。
ブログのほうが疎かになっていますが、今少しお時間をいただけるとありがたいです。
でも、なんとか頑張って更新しますね。
DSC07183.jpg

ドッペルゲンガーを見ると死ぬ、と言われているらしい。
だとしたら、ボクの寿命は長くないかもしれない。
これが、ドッペルゲンガーだとしたら、だけれど。

突然、ボクを訪ねてきたのは、ボクと同じ顔をしたボクで・・・いや、ボクじゃないな、ややこしい。
「何しにきた?」
「何しにきたって、お姉ちゃんに会いに来ただけだよ」
「じゃあ、その荷物は何だ?」
大きめのキャスターバッグ、その上のトートバッグ、背中の大型登山用ザック。
「いやーこれは・・・」
「だから、なんだ? まさか家出したきたんじゃないよな?」
「違うって、信じてよ」
「それからな・・・その姉っていうのやめろ、人聞きの悪い」
「だって、お姉ちゃんでしょうが。正真正銘」
「正真正銘そうだとしても、呼ぶなって言ってる。」
「じゃあ、ひかるちゃん」
「それもやめろ」
「じゃあ、なんて呼べばいいのよ?」
「好きにしろ」
「好きにしろって言われてもね、ほかに呼び方知らないし」
「じゃあ、何しにきたか言ってみろ!」
「怒鳴らなくても言うけどね、え~~とね、引っ越してきましたぁ」
「そんな話は聞いてない!」
「うん、言ってないもん、言うと拒否されそうだったから」
「当たり前だ、家出娘をかくまう趣味はない」
「家出じゃないって言ってるでしょうが、引っ越してきただけだって」
「だったら、なぜ引っ越してくる?」
「ほかに行くところないから・・・」
「ほら、家出だろうが、帰れ! 今すぐ帰れ!」
「違うってば・・・」

堂々巡りである。

ボクは小島輝という。一応「ひかる」と読むが、音が嫌いなので、「テル」と親しい人間には呼ばせている。
訪ねてきたのは、小島光という。普通に「ひかり」と読む。性別は女・・・のはずだ。
証拠に、ささやかなりの胸がある。
髪の長いことなどあてにはならないが、一応それなりに長いし、声も高い。背も高くて気にしているようだが、これは単なる血筋だから、どうにもならない。

同じ顔、同じ背格好。
違うのは、髪の長さくらいしかない。
胸はない・・・というのはフェイクだ。
あることはある、抑えてしまえばわからないほどささやかに。

「怒らないで聞いてね」
「ふん、わかったよ、一応聞いてやる」
「家を出てきました・・・」
「ってな、やっぱり家出だろうが」
「違うよ、出てきただけ、こっちに住むから」
「こっちに住む・・・ってまさか?」
「うん、そのまさかだよ」
「駄目だ駄目だ駄目だ」
「だって、行くところないんだよぅ」
「市内の近場で住むところどこにでもあるだろ? ここからはバイクで40分もかかるんだぜ、言っとくが原付じゃないんだからな」
「わかってるけどぉ・・・」
「一応鉄道も走ってるけどな、最寄り駅まで自転車で10分はかかるし、朝で一時間に一本くらいしかないし、おまけに向こうについてからバスに乗り換えだし、それもやっぱり一時間に一本だし・・・帰りなんかちょっと遅れたらなんにもなくなるんだぜ、わかってるか?」
「うん、たぶん・・・」
「たぶん・・・ってなぁ、わかってないだろ?」
「うん、原付でも買えばいいかなぁ・・・って」
「だからな、原付だったら1時間以上かかる」
「じゃあ、車」
「バカか、車なんか買う金あるか!」
「だよねぇ・・・じゃあさ、引越ししよ、一緒に市内に」
「イヤだ! ここに住むって決めたんだ」
「貯金下ろしてきたから、敷金礼金くらいはあるんだけど・・・」
「だったら、一人で住んだらいいだろう?」
「だってさぁ・・・寂しいでしょ? それに女の一人暮らしなんて物騒でしょ?」
「そりゃ寂しいのは認めるけどな、やることいろいろあるし、寂しいなんて言ってられないし、それにオレは女じゃないし・・・な」
「何言ってんのよ、女じゃん」
「女だけど、女じゃないんだ、少なくとも女だって誰にも言ってない」
「そっかぁ・・・そうしちゃったんだぁ。アタシもそうしようかな?」
「やめとけ、ってか、出来たらかわいい妹でいてくれよ、オレは子供作る気ないんだから・・・血筋が絶えるだろう?」


もう、お分かりだと思うが、ドッペルゲンガーの正体は、妹だ、双子の。
双子だけれど、学年は1年違う。
役所には適当に時間なぞ届ければいいのだけれど、両親がおもしろがって、きっちり出生時間を届けた。
ボクが4月1日11時58分生まれ、妹は4月2日0時02分生まれ。
たった四分の違いで年度が違うそうである。
なんて、杓子定規な、と思うけれど、その辺は適当にごまかしておけばいいはずである。
事実医者はそう言ったらしいのに、両親がきっちり届けると言って聞かなかったらしい。
役所ですら、同じ日にすればと進言したそうだが、それも突っぱねたということで、祖母には散々その話を聞かされた。

今ボクたちがいる県は、日本でも下から数えたほうが早い人口の少ない県で、基本的に山ばっかりである。
ボクの通う大学は、たまたまこんなところにある。
これでも、総合大学で国立で、それなりの学校なのだけれど、ローカル線しか走ってない田舎にあるおかげで、正確にどこにあるか把握しているヒトは少ない。

ボクは、大学に入ったら学友とは一線を引こうと決めていた。
ある違和感が頭をもたげてきたからだった。
ボクは、ホントに「女」なのかと?

だから、住むところも、大学から離れた山奥に決めた。
この辺りでは、古民家からそう古くない家まで過疎化で放置される傾向にある。
借りて住んでくれるなら、というわけで破格で割合に広い一軒家が借りられるのだ。
一軒家で、3万円台なんて都会では全く考えられない。
風呂なし、四畳半一間がいいところだ。

とにかく、誰もボクのことを知らない土地で、1から人間関係を築いていきたかった。
大学でのボクも一応「男」で通しているつもりだし、幸いなことで足のつきにくい名前ではあるので、性別記載のない免許証を身分証とすればたいていの届出は「男」で通ってしまう。
と言って、大学では性別を開示する場面がないわけではないし、どこから秘密がもれるかわからない。
慎重にそれを回避し続けたとしても、突然の訪問でプライバシーを覗き見られてしまうこともありうる。
近場であれば住んでいるところを突き止められる可能性だって少なくはないからだ。

田舎の大学では、学生の住むところなどたいてい固まっていて、近所付き合い=顔見知り=友人たちに筒抜け、という構造に陥りかねない。
一応「男」というスタンスで、ストレスのかからないように暮らすには、できるだけ大学から離れるのが安全だった。

田舎ではプライベートにどんどん踏み込んでくるという話は聞いていたが、この1年間はうまくそれを回避してきた。
請われれば集会などにも顔を出したが、なるべくはプライベートに触れられないよう、勉学に励む学生を演じていた。
通学に時間がかかる上、バイトなどもしていたので帰宅が深夜に及ぶことも多かった。
隣宅はそんなボクのことを気にかけてくれているようで、ときどき野菜などを差し入れしてくれるのがありがたかった。
本当なら、もう少し触れ合っていたいものだと思っていたのだけれど、そこは慎重に一線を引き、立ち入られるわけにはいかなかった、立ち入られてはいけないと思っていた。
この、不一致が解消されるまでは。
でも・・・いつ解消になるんだろう?
それは、ちっとも定かではない。

だいいち、定かにするための手段は今はない。
社会に出れば出たで、多くの軋轢がのしかかってくるだろうし、まともな就職口が見つかるとはとても思えない。
結局、いかなる手段を持っても生き延びること、それしかないような気がする。

嵐の前の静けさ、ちょうど今はそんな時期の筈だったのだが・・・どうやら嵐が一足先にやってきたらしい。


「帰れ・・・と言っても無駄なんだろうな・・・」
「うん、たぶんね、入学金も払っちゃったし」
「一人で住め、というのも無理なのか?」
「できれば、一人はいや。ほら、親だって大変でしょ? 生きている以上ランニングコストがかかるんだし、非生産的な学生にどうにかしろっても無理な話だし」
「二人で住めば半分で済む・・・か・・・」
「その分、交通費はかかるかもだけど、どうせバイクだし、電車とかバスとか乗るわけじゃないし」
「それはそうだけど」
「それにさ・・・」
「ん?」
「テルちゃんいると思ってたからねぇ、なんにも考えないで来ちゃった」
「お前なぁ!!」
「だって、お母さんも、『ひかるちゃんいるから大丈夫ね』とか言ってたし」
二の句は告げなかった。
関連記事

コメント

先が楽しみです~。 樟葉 : 2011/08/22 (月) 23:39:33 修正

 双子でも、出生時間で学年が違うって、システムはそうなんだけれど、面白いですね~w

 そして、先が楽しみな導入で、続きをお待ちしております~♪

 今後どうやって、このお話がベタ甘になるのかも、ワクワクです。
     修正用パスワード :

管理人にのみ公開 :

トラックバック


<<前の記事へ ▲  次の記事へ>>

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。